一流の視点

  • 全国各地を飛び回り、ジャンルや業界を飛び越えて仕事をする
  • 技術を使っておもしろいものをつくる。それで人を楽しませる


こういう仕事のあり方は、自分の理想。


それを今まさに体現している彼らがどういう視点で世界をみているのか、
僕がそういうあり方を体現するためにやるべきことはなにか。


こちらのインタビュー記事を読みつつそんなことを考えた。
http://b.hatena.ne.jp/articles/201006/1329

2人とも僕が直接面接をして、そのときにそれぞれの作家性を強く感じたんですよ。次男はスケボー乗りなんですが、自分が撮ったスケボーの映像を作品として持ってて、それがすごく良くて。カッコいいスケボーの映像だけじゃなくて、ジャッキー・チェンの映画みたいに、最後にNG集があるんですよ。その構成能力とか自分自身を撮っている感じ、音に触れて「あ、こいつ才能があるな」と。


三男は当時、武蔵野美術大学のデザイン情報学科に所属していたんですが、専攻とは全然関係ないゲームを作っていたんです。僕に持ってきたのが「しのちゃん」っていう男の子が主人公の、裸で始まってズボンを探す旅をするゲームで。「これはやばいな」と。


この「作家性」ってやつが、企画などから携わって面白いもの/ことを生み出す人に必要な能力。


で、こういう感じで、そのゲームや映像をみてなくても「それおもしろいなぁ、見てみたい」
って思えるようなものをつくれることが作家性。


いや、ちょっと違うか。ストーリーや文脈を感じられるもの、をつくれることかな。


そう解釈すると、自分がこの半期にやろうとしていることに、
「作家性を磨く」という部分が足りない。



好きなものしか拡張しない。例えば、映画の世界を現実に作るのって、すごい暴挙なんですよ。その世界が好きな人からすると「何やってくれとんねん!」と思うじゃないですか。ドラマを実写化するときも、周りの反感って大きいでしょ。そういうときに半端なものを作って「世界観を壊すな」って言われるのが一番嫌だし、その作品が好きで仕事しているので汚したくない。作り手の作意を曲げないように「これでいいですか?」と聞きながらやっていますよ。


広告業界って、作品とか素材をあまり見ないまま作ることが多いですが、僕は知ってからじゃないと何もやりたくないし、できない。文脈をきちんと辿って、敬意を持って、本当に好きな人達にも受け入れてもらえることをしないと、と考えてます。


こういう姿勢が、ストーリーや文脈を感じさせ、
「なるほどなぁ」と見る人たちに面白みを感じさせる基盤になってるんだろうな。

  • クリエイト対象には敬意を持って文脈をたどろう
  • そうするためには好きな対象じゃないとできない

——今年の4月にオルタナティブ=デザインが在籍していたメーカー「JUKI」から独立しましたが、そのきっかけは?


川田  いろいろと理由はありますが、まずは、メーカーの中でやれることは全部やってしまったから。メーカー側から見ると、僕がやっていることって意味不明なんですよ。「なんで君はフジテレビでビームを出してるんだ」「それは企業価値にどうフィードバックがあるんだ」って、偉い人達の前で真顔で聞かれるんです。それってすごくシュールで、最初は面白がってたんですけどだんだん面倒になって。


僕はARがメーカーの新しい技術につながるという意識があって活動していたし、そういう説明もしていたんだけど、中で説明する時間があるんだったら外で話をして、形にしていく方が面白いし速いなって。

メーカーでは機械を作っている人が一番強くて、僕らがやっていることは評価されづらい。そういうギャップやスピード感、みんなのこと考えると出た方がいいな、と。

今ね、ARと水商売をマッシュアップしようとしてるんですよ。「日本以外全部沈没」という映画を撮った河崎実監督に、中野に地球防衛軍の基地を作りたいって言われてて。「月に地球防衛軍が来て、みんなが地球防衛軍の制服を着ていてお酒を出す。その会員証からセクシーなARが出たらおもしろくね?」って雑なネタフリをいただきまして(笑)。確かにユニークな試みだし、絶対面白くなるんですけど。そういうことって、僕がメーカーにいたらできないことなんです。


あと僕、他のメーカーの技術がすごく好きなのに広告できない立場だったんですが、今は自由にできる。安全装置が外れて、やっちゃいけないことがなくなった。すごく楽しいですよ。


会社でやるか独立するか、その判断ポイントは、
「やりたいことをやるために最適な環境はどれか」



——キャパシティを超えるオファーが来ていると思いますが、その仕事を選ぶ基準はやはり面白さですか?


川田  それと相手の本気度ですね。あとは、あんまり考えてない方が嬉しい。「こういう風に見せたいんですけど」より「これ拡張できますか?」って言われた方がやりがいがあります。


一緒に仕事をしたいかどうかの基準として、
本気度ってのは確かに、大いにある。


そして自分にまだ自信がないときに、
その本気度に怯んでしまうこともある。


そういえば今日音楽やってる知り合いから
「ギター入れてほしい」といわれて
「いいよ」と答えつつ前のめりになれなかったのは、
相手の本気度に応える自信がなかったからだ。


相手の本気度と自分の本気度、意識することにしよう。



——やっていることが総合的ですよね。企画立案から始まって、ディレクションとかプログラムとか


川田 そうですね。それって音楽に似てるんですよ。音楽って自分で全部のリズムを取って多重録音をしたときに、増幅するんですよね。自分の声をただ2つ重ねて録音するだけでも、「なんだこれ」ってなるし、自分のドラムにギターを乗せたりすると、技術は拙いはずなのに、生き物のような音になったりする。そういうことを音楽で感じていたので、ずっとそういうスタイルでやっていたいなとは思います。


同意。



プログラマーってすごくて、もしかすると本当にコード一つで世界を変えちゃうかもしれないのに、画面の中で考えてしまうことが多い。もちろん、プログラマーの人でも広告の人でも誰でもいいんですけど、本当に「世界は変わる」と思って動いてほしい。僕、Web業界に長いこといますが、上から落ちてくるものを淡々とやる人や無感情で仕事をしてる人が結構いるんです。そういう人たちにもう1回初期衝動を思い出してほしい。

最初に「hello world」って書いたときは、その「world」は「世界」だったはずなんですよ。表舞台に出て行かない、それも格好良さではあるんですけど。周りの人ももっとプログラマーはすごいんだぜ、っていうのをわかってほしいな。


同意。



実を言うと僕、出たがりじゃないんですよ。すごく人見知りするから家にいたいし、ずっと漫画を読んでいたい(笑)。今、僕が作っているものがそのままで伝わるものなら、出ていないですね。体験したり僕が出た方がわかりやすいと思うから出てます。


伝えたいことがあるから出る、そう開き直っていいんだ、というのは励みになる。